皆さんはベーシックインカムというものをご存知でしょうか?
知らなかった方もいらっしゃると思うので、まずはベーシックインカムについて簡単にご説明いたします。
結論からいうとベーシックインカムとは、国が国民に対して生活費を無条件であげますよってことなんです。
これが可能になると贅沢さえしなければ働かなくても生活ができるようになるらしく、そしてこの制度は夢物語ではなく、実際に活用している国や地域が存在している制度になります。
2017年1月からフィンランドでは国民2000万人に毎月7万円を支給するベーシックインカムの大規模実験がおこなわれていて、その後の聞き取り調査では受給者のストレスや仕事探しのモチベーションに大きな変化があったことが明らかになっています。
外務省のHPによりますと、フィンランドは失業率が2016年も約8.8%と高い水準にあり、特に若者の失業率は20%と極めて高い状況にある国です。
(ちなみに日本国内においての失業率は、筆者の経験上で就職難といわれた2009年で約5%となっており、2017年では約2%となっています。)
日本と比べると失業率がべらぼうに高いフィンランド国民は、ベーシックインカムという魔法のような政策にモチベーションが上がるのは当然でしょうし、フィンランドで成功したからといって経済状況の背景が違う日本で成功するとは言い切れません。
日本でも失業者を救うための制度して失業手当がこれまで存在していましたが、ベーシックインカムの大きな特徴として失業者が就職をしてもお金を受給できるということがあげられます。
またベーシックインカムを受給する際の条件はなく、受給対象者は就職活動を報告する必要も無し。そもそも就職しないという選択肢もOKで、もらったお金は自由という特徴があります。
こんな夢のような話のベーシックインカムですが、まだまだ反対の意見もあり導入するかは慎重に検討する必要があると思います。
しかし、実際に運用したフィンランドでの実験の結果からわかってきていることは、受給者に対してプラスの要素が多いらしく働く意欲をなくすどころか、むしろ前向きに就職活動をする人が増えたとの結果もあります。
このことから、ベーシックインカムとはとんでもない馬鹿げた考え方とは言い切れないのも事実です。

そして、ここからが私たち観光協会が考えなければいけないことです。
そんな賛否両論のあるベーシックインカムですが、仮にこれが本格的に導入された場合、観光事業のようなサービス業が提供すべきコンテンツとはいったいどんな内容でしょうか?
仕事から解放された人々が毎日を有意義に過ごすためには、絶対的に何かしらの娯楽が必要となるはずです。
そしてそれはこれからの時代において、リアル(現実世界)とは限りません。
VR(バーチャル・リアリティ)などのように、仮想現実の世界でその娯楽を満たす人たちも出てくることでしょう。
なぜなら、そのようなサービスはアクセスが簡単でクオリティーの高い(現実より楽しい)コンテンツを低い金額で利用することができるからです。
では、リアルを売り物としてきた観光事業が、VRにも負けない付加価値をつけるとにはどうすればいいのか。
私は徹底した団体向けサービスこそがこれからは大事になるのではないかと思います。
これまで観光事業は家族・恋人・学校・などのお一人様以上をターゲットにしながらも、個人でも楽しめる内容を提供してきました。
極端に言えば、お一人様は入場を禁止させていただきますという内容の看板がどこにもないということです。
しかしこれからの時代、毎日が日曜日状態の人が増えることを考えると、一人で娯楽を楽しむということは特別なことではなく当たり前のことになっていくと思います。
そして当たり前のことに人はお金をあまり払ってくれたりしません。
人は自分ではできない特別なことにしかお金を払ったりはしないのです。
つまり一人でも楽しめる内容の娯楽は、もはや観光事業が提供するサービスではなくてもいいと考えます。
それくらい考え方を振り切らないといけない時代になってきたし、これまでのやり方が通用することは絶対にありえないのです。
例えば、これまでは一人だろうと複数だろうと体験できるコンテンツを提供していたのであれば、複数の参加者でなければ体験できないコンテンツを提供していく。
そういった思考でサービスを提供していくことで、今後起こりうるベーシックインカムがもたらす毎日が日曜日の方たちを、お客様として捕まえることができる方法なのではないかと考えた筆者でした。
※この記事は筆者の超独断と偏見による内容となっております。これはおかしいとか間違ってる等の反対ご意見をぜひお寄せください。